Delphi 6をWindows 11で使う 2025年12月16日更新

 

私はPascalを Turbo Pascal 3 以来色々Borland製品を購入して使用して来たが.Netを使わないWindowsデスクトップアプリを作成するには Delphi 6 で十分だと思う。軽いし。ネットを見ると一応Windows 11にもインストールできるらしい.。しかし古いいソフトをCD-ROMからインストールして環境を汚したくない。私はかつて使用していたWindows XP(16ビット)を仮想環境にした中に Delphi 6 Professional がインストールしてあるのだが、そのファイルとレジストリーとをコピーして使えるかどうか試してみた。今は Free Pascal/Lazurus をメインに使っているのでDelphi 6が必要ということでもないのだが。

生のWindowsでなくてもよければ Sandboxie にインストールして使うか(パフォーマンスの違いはわからないほど小さい)、またはその後サンドボックスフォルダーからコピーをするという方法でもいいでしょう。

CD-ROMからインストールしたらアップデートしておく方がいいがアップデート用ファイルはインターネットアーカイブにも残っていないので私が保存しておいたファイルを勝手に転載した。説明をよく読んで必要なファイルと適用する順番をまちがえないようにして下さい。

 

【I】 コマンドラインコンパイラ dcc32.exe を使えるようにしてみる

私はコンソールアプリを作ることが多いのでまずはコマンドラインコンパイラー dcc32.exe だけでも使えるかどうか試してみた。簡単にできた。

Windows XPの Delphi 6 のインストール先から Bin フォルダーと Lib フォルダーとをコピーして来てWindows 11上に作成したフォルダーにコピーをした。BinフォルダーにはDelphi 6 IDEを含め色々ファイルが入っているが、最低限必要なファイルは
dcc32.exe の他には
rlink32.dll
lnkdfm60.dll
borlndmm.dll
delphimm.dll
dcc60.dl
のみだと思う。足りなかったらエラーが出るだろうからその時追加すればいいだろう。

それと dcc32.exe のコマンドラインオプションを記述しておくための dcc32.cfg というテキストファイルがあるとよい。その中にたとえば
-U"Libフォルダーの絶対パス;他の自作unitの保存フォルダーの絶対パス"
のように書いて置けば一々コマンドラインで指定せずに済む。
Binフォルダーにはパスを通しておく。

コンソールアプリだけでなくてGUIアプリもコンパイルできる。*.dfmがバイナリー形式になっていても convert.exe でテキスト形式に変換できてエディターで編集できるので既存フォーム修正してコンパイルすることもできる(ちょっと面倒だが)。

 

【II】 IDEを含め Delphi 6 全体を使えるようにしてみる

以下、インストール先を Windows 11 の "C:\Program Files (x86)\Borland" ということにして書く。

  1. Windows XP の "C:\Program Files\Borland" フォルダーを Windows 11 の "C:\Program Files (x86)\Borland" にコピーし、"C:\Program Files\Common Files\Borland Shared" を "C:\Program Files (x86)\Common Files\Borland Shared" にコピーする。
  2. Windows XP の "C:\WINDOWS\system32" フォルダの中から Delphi 6 がコピーしたファイルを識別して Windows 11 の "C:\Program Files (x86)\Borland" の中に "SysWOW64" フォルダーを作成してそこにコピーした。CD-ROMの \install\system32 のファイルリストが参考になる。ただしアップデートで追加された soaprtl60.bpl と soaprtl60.map はリストに入っていない。
  3. Windows XP でレジストリー HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Borland と HKEY_CURRENT_USER\Software\Borland とをregeditでregファイルにエクスポートする(Sandboxieの場合はC:\Windows\SysWOW64\regedit.exeを右クリックで「サンドボックス化して実行」してエクスポート)。
  4. regファイルをテキストエディターで編集する。HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Borland のregファイルでは "HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE" を "HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\WOW6432Node" に全部置換する必要がある。また、インストール先のフォルダー名等も全部書き換える。さらに HKEY_CURRENT_USER\Software\Borland\Delphi\6.0 の LM は削除しておく。その後regファイルをregeditでレジストリーにインポートをする。
    Windows 11のregeditは対象が大きいregファイルを扱うと全体がエクスポート・インポートされないことがある信頼性に欠けるツールなので結果を確認して問題があればregファイルを分割して処理する。
  5. コマンドプロンプトを管理者として実行し、
    C:\Windows\SysWOW64\regsvr32 "C:\Program Files (x86)\Common Files\Borland Shared\Debugger\BORdbg61.dll"
    でデバッガーの登録をする。アップデートしていない場合にはBORdbg60.dl。
  6. 環境変数 Path に
    C:\Program Files (x86)\Borland\SysWOW64
    C:\Program Files (x86)\Borland\Delphi6\Bin
    C:\Program Files (x86)\Borland\Delphi6\Projects\Bpl
    を追加する。
  7. "C:\Program Files (x86)\Borland\Delphi6\Bin\delphi32.exe" を起動してみる。もしインストール番号とインストールキーの入力を求められてCD-ROMが手元になくても HKEY_CURRENT_USER\Software\Borland\Delphi\6.0 に LMLIC と LMKEY として記録されている。使用許諾コードはもはやネットで取得できないので「後で取得する」でよい。
  8. 私は環境を汚したくないという方針でActiveXのインストールはしなかったのでそれを利用したコンポーネントは動作しないが、気にしない方はコピーしたファイル中のocxファイルを5.の方法で登録すればよい。

 

【III】 使用許諾コードについて

上記のようにインストールした方でもCD-ROMから普通にインストールしても構わないという方でも使用許諾コードについては知っておく方がよいことがある。

公式の「使用許諾FAQ」というページを見ると現在ネットで使用者許諾コードは取得できないが「使用許諾コード取得代行を依頼」という方法は用意しているとのこと。しかし動作保証対象外のWindows 10/11では「使用許諾が完了したのに、製品を起動すると使用許諾ウィザードが表示されます」という問題が発生する。しかも「登録回数の上限」というものもあるので「使用許諾コード取得代行を依頼」も回数が制限されてしまうだろう。そのため使用許諾コードは「後で取得する」で使用を続ける。

ネット上にWindows 10で「後で取得する」にしても効かなくなることがあるように書かれていたが、その時にはレジストリー HKEY_CURRENT_USER\Software\Borland\Delphi\6.0 の LM を削除すればいいようだ。

 

【IV】 おまけ

かつて商用利用不可という条件で Delphi 6 Personal というソフトが公式ページ(インターネットアーカイブ)や雑誌付録でフリー配布されていた。インストールするには使用者登録が必要だが今では登録できないのでインストーラーを持っていてもインストールはできない。しかし今でもインストール無しでコマンドラインコンパイラーだけは使用できてしまうことがわかった。インストーラーはインターネットアーカイブにも残っていないので私が持っているものを勝手に転載した。ファイルサイズは公式ページ記載と一致しているがMD5等は書かれていないので怪しいと思う方は仮想環境やサンドボックス上でテストして下さい。

  1. Windows 11上でインストーラーを実行する。インストール先は任意の普通のフォルダーでよい。
  2. 下のダイアログボックスが出るまで進める。これ以上は使用者登録がないと進められない。


  3. ここで右上の X をクリックして終了してしまう。まだインストールは終わっていないがインストール先に dcc32.exe とそれを利用するために必要なファイルが揃っている。

 

<戻る>